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マンション管理
防火管理者の成り手不足を解消するには?

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。
9月1日は「防災の日」です。

全4回のブログでマンション管理組合の防火管理業務について説明しております。
第1回目「防火管理者の選任」、第2回目「防火管理者の業務」に引き続き、今回は「防火管理者の成り手不足の解消」についてお話します。

 

防火管理者になってもらうために

防火管理者として選任されるためにはその人が資格を有していなければならず、資格取得のためには通常は1~2日の講習を受講しなければなりません。
またその受講料は数千円かかりますし、交通費もかかります。平日に開催されることがほとんどであるため会社を休む場合もあります。

防火管理者とは名ばかりで実際に業務をしていなければ罰則もありますし責任が伴いますが、誰かがその役割を果たさなければなりません。
法律上の義務を果たすためだけでなく自分たちの生命・財産・住環境を守るためには重要な役割なのに、成り手がいなくて困っているマンションは数多くあります。

防火管理者の選任の仕方、成り手不足の解消方法には次のものがあります。

(1)輪番制
例えば2年ごとの輪番制にする方法があります。
メリットとしては、防火管理者の経験者が年々増えていくためマンション全体の防火能力が向上します。
デメリットとしては、講習の受講や未経験からの就任のため負担が大きいこと、嫌々ながらやるため責任感が希薄になってしまうことが挙げられます。

(2)理事長任命制・立候補制
勤め先職場で防火管理者として活躍している区分所有者がいる場合にはこの方法が有効でしょう。
メリットとしては、講習はすでに受講済み職場での経験を生かしてもらえる、何年もその人にやってもらうことによって経験の蓄積ができるなどが挙げられます。
デメリットとしては、特定の人に業務が集中することによって過度な負担がかかりますし、それが不満にもつながります。

(3)受講料や手当の支給
防火管理講習の受講料交通費、年額数万円の手当を支給することによって経済的・精神的負担を軽減することができます。

様々なやり方がありますが、理事会で話し合い、総会で「防火管理者の業務に関する細則」を制定することをおすすめします。

防火管理者へ手当を支給することのメリット

私の意見としては、理事・監事・防火管理者ともに手当を支給するのが良いと考えています。
管理組合の支出も増えますが、もともとは自分たちが支出した管理費が財源です。
区分所有者が出し合ったお金が区分所有者へ戻って来るだけです。

また全くの無償では頑張ろうという気持ちが続きません。途中で心が折れてしまいます。
成り手の好意に頼るにしても、薄謝という形で区分所有者全員の感謝を表現することは管理組合の運営を円滑にします。

建築士や消防設備士などの資格や職業技能をもともと持っている人なら、ただ働きをお願いすることは長期的観点から管理組合にとって利益にはなりません。
一部の人の好意にタダ乗りし続けるというのはやめたほうがよろしいでしょう。
僅かながらも手当を支給し管理組合のために専門技能で貢献してもらう方がメリットが大きいです。

 

次回へ続きます

防火管理者の業務を適切に行わないと刑法上の罰則があります。
それだけ責任は重大であり、多くの人が防火管理者になりたがらない原因でもあります。
しかしもし火災が起きて被害が出てしまった場合でも、法律上の義務を果たしていれば罰せられることはありません
誰かがやらなければならない業務であり、やればみんなに喜んでもらえる業務です。
消防設備士や防災士などの資格を取得して趣味のようにハマってしまう人もいるんですよ!
次回・最終回は「自衛消防活動と自衛消防訓練」についてお話しします。

この記事を書いた人

陽だまりマンション税務事務所/代表・深谷高史(ふかやたかし)
一般社団法人愛知県マンション管理士会 理事
東海税理士会刈谷支部 所属

マンション管理士、税理士、マンション管理組合理事長の3つの顔を持っています。分譲マンション管理組合の税務申告を得意としています(携帯電話基地局など)。このサイトでは、マンション管理、税務、FPなどについてできるだけわかりやすくお伝えしています。

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