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セミナー講演
信州大学での講義内容

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。
今回のブログは前回のブログ「信州大学で講義をしました」の続きです。

2021年7月14日、母校の教壇に立たせていただきました。
授業科目名は「現代職業論」であり、私はテーマを「資格職のキャリア論」としました。ざっくり言えば「就職氷河期世代の私が大学卒業から20年間どのように生きてきたのか」をお話ししました。時代の流れに影響を受けた実体験です。
パワーポイントのスライドを紹介しながら概要をお伝えします。

講義内容

入学した1997年はバブル崩壊の影響が顕著に表面化しました。橋本龍太郎内閣によって金融ビッグバンが進み、企業会計も大きな変化がありました。終身雇用の見直しが始まった頃であり、空前の資格ブーム。奇しくも八代尚宏著『日本的雇用慣行の経済学』が出版されたのは1997年でした。まさに私は就職氷河期の世代(ロスジェネ世代)です。

会社の経理部門へ新卒配属されるのは幹部候補あつかいの好待遇であり、期待されている証拠です。経理職を希望しているなら在学中に日商簿記検定2級を取得しておきましょう。もっとがんばることができるならば、税理士試験の会計科目(簿記論と財務諸表論)にもチャレンジ!

近年、終身雇用が限界を迎えています。コロナ禍もあって副業は解禁され、週休3日制の導入も議論されています。今後は正社員という制度が相対的に少なくなり、働き方の多様化雇用の流動化はさらに加速していくでしょう。キャリア形成の仕方も以前とはガラリと変わるでしょう。

キャリア形成の仕方は十人十色で様々ありますが、その一つとして「資格職(士業)」があります。特に国家資格は使命や業務内容が法律で規定されていますので、自らキャリア形成しやすいですし他人から評価されやすいです。どこの職場でも通用しやすいので持ち運びに便利な専門知識・技術です。資格を取得しただけでは役に立たないのはもちろんですが、そのうえに職歴を積んでいけばとても有能になれます。

今では年金もキャリアも会社まかせではなく、自分で作る時代です。終身雇用の前提がなくなれば従業員への教育費も少なくなります。職業生活を安定させ、充実させるためには、プライベートの時間を自己投資に費やす必要があります。資格試験の勉強に限らず、いろんなことを体験することによって自分の人生をコントロールしやすくなります。

若い人には若さや体力などの価値が溢れています。時間の経過とともに若さという価値経験や知識などの価値へ転換して欲しいと願っています。若さという価値を浪費する生き方は年をとるだけで何も残らない生き方であり、中年以降になれば取り返しがつかない状況(貧困、不自由)に陥ってしまいます。積立NISAのように経験という価値を積み重ねると、年をとるほど人生は楽しく自由なものになると私は信じています。

キャリア形成は、ガチガチのデザイン(設計)通りではうまくいきません。流され続けるドリフト(漂流)状態でもうまくいきません。人生のトランジション(節目)においては立ち止まって熟考し、節目以外ではあえて流されるとセレンディピティ(予想外の幸運、偶然の掘り出し物)に巡り合うことができます。これこそが人生に楽しみを与えてくれます(金井壽宏[2002]『働くひとのためのキャリア・デザイン』PHP新書)。状況の変化に柔軟対応しつつも「だいたいこっちだな」という方向感覚を失わないことが重要です。

終身雇用制度とは定年制度であり、その廃止は生涯現役社会の到来です。努力し続ける人は自由であり続け、怠けてしまう人は不自由へと転落してしまいます。かといって生涯現役というのはあくまで可能性の問題であり、体力・気力の限界は必ず訪れます(ここで千代の富士のものまねをしましたがまったくウケなかった)。私は41歳で税理士登録しましたが、71歳で廃業するにしても所得税の確定申告業務は30回しかできません。過度な楽観も悲観もせずに、心を中立的にして残りの職業生活を過ごしていきたいものです。

私の事務所の使命は、
(手段)マンション管理組合の税金の悩みを解消し
(目的)住環境をより良いものにして
(目標)街づくりに貢献する

ことです。
税理士業務は手段でしかありません。恥ずかしげもなく、「よりよい社会の実現」という青臭い理想論を掲げております。具体的に言えば「街づくりに貢献」したいのです。
近年は理想論や綺麗事を堂々と言いやすくなっています。倫理的に生きやすい社会が実現しています。国家資格は法律に基づいており、その法律は日本国憲法に基づいています。国民主権平和主義基本的人権の尊重という三原則どおりの働き方がしやすいのです。まず自分がその理念を実践することによって、より良い社会を実現していきましょう!

セネカによれば「良く生きれば人生は十分に長い」そうです。しかし私を含め多くの人々は「人生はやりたいことをやるには短すぎる」と嘆いています。私はまだまだ無駄なことをやっており、「良く生きる」とは何なのかが分かっていません。分かっていないのですが、今回の出講依頼は「良く生きる」とは何なのかを考える機会を与えてくれました。貴重な機会をいただき、心より感謝しております。

次回ブログへまだ続きます…

母校の教壇に立つというのはとても光栄なことであり、すごく嬉しいんですよ。ですからおみやげ話はまだ続きます(笑)

私は在学中、松本市の奥座敷「浅間温泉」という温泉街に住んでおりました。当時ですら以前と比べて寂れたと言われていたのですが、2018年と2019年の4月に旅行した時はもっと寂れていました。しかし今回(2021年7月)行った時は町に新しい店舗がいくつかできていたのです。
次回ブログでは町の活性化マンションの活性化に関連させて考えてみたいと思います。

この記事を書いた人

陽だまりマンション税務事務所/代表・深谷高史(ふかやたかし)
一般社団法人愛知県マンション管理士会 理事
東海税理士会刈谷支部 所属

マンション管理士、税理士、マンション管理組合理事長の3つの顔を持っています。分譲マンション管理組合の税務申告を得意としています(携帯電話基地局など)。このサイトでは、マンション管理、税務、FPなどについてできるだけわかりやすくお伝えしています。

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