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税務
会計予算と会計決算

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。

マンション管理組合の運営資金は区分所有者全員から集められ、区分所有者全員のために使われます。
資金の使い方をみなさんに納得してもらうためには「会計」が重要です。
今回のブログでは、管理組合の「会計予算」「会計決算」について解説します。

【もくじ】
・管理組合の会計に特有の「予算準拠」
・総会議案としての収支予算案
・総会議案としての収支決算案
・予算から始まり決算で終わる
・監事による会計監査
・さいごに

管理組合の会計に特有の「予算準拠」

マンション管理組合は、区分所有者全員で構成される団体です。
団体の目的は、マンションの管理を行うため、つまり建物・敷地・付属設備の管理を行うためです(標準管理規約第6条)。

区分所有者は、敷地・共用部分等の管理費用に充てるため、管理費修繕積立金を管理組合に納入しなければなりません。
管理費と修繕積立金は、まとめて「管理費等」と呼ばれます(標準管理規約第25条)。
マンション管理組合の管理費等は区分所有者全員から集められ、区分所有者全員のために使われるのです。このことから下記の必要がでてきます…

管理費等の収入と支出は、区分所有者全員から事前に多数決で賛成してもらい、結果報告も多数決で賛成してもらう必要があります。

理事長や理事会だけで管理組合の資金を好き勝手に集めて使うことができないのです。
管理組合の収入・支出は、総会で承認された予算にもとづいて行う必要があるとする考え方「予算準拠」と言います。
「予算準拠」は管理組合の会計に特有の考え方ですので、とくに組合役員の方は常に意識してください。
なお、「区分経理」という考え方も管理組合の会計に特有であり、次回以降のブログで解説したいと思います。

総会議案としての収支予算案

管理規約は、マンション管理組合の内部で最も重要なルール(最高の自治規範)です。
国土交通省はそのモデル(見本のひな形)として「標準管理規約」を公表しており、最新では2021年6月22日に改正されています。

標準管理規約では、理事会は収支予算案を決議すると規定されています(第54条)。
まず理事同士の中で収入と支出の「予算の案」を作成し、取り決めます。

次に、理事長はその収支予算案を通常総会に提出し、承認してもらいます(第58条)。
つまり区分所有者全員で収支予算案に対して多数決で賛成を行うのです。

こうして総会承認された収支予算にもとづき、理事長や理事は業務を執行していきます。

総会議案としての収支決算案

理事長や理事は、承認された収支予算にもとづき管理組合の資金を適切に収入・支出したかどうかを会計年度が終わった後に報告する義務があります。

標準管理規約では、理事会は収支決算案を決議すると規定されています(第54条)
まず理事同士の中で収入と支出の「決算の案」を作成し、取り決めます。

次に、理事長はその収支決算案を通常総会に報告し、承認してもらいます(第58条)。
つまり区分所有者全員で収支決算案に対して多数決で賛成を行うのです。

業務の執行、資金の収入・支出を行っただけでは、理事長・理事の仕事は終わりではありません。
総会で結果報告し、それが承認されたあとに、やっと理事長・理事の職務責任が果たされるのです。
(会社に勤めている人も、上司や会社へ報告しなければ仕事は終わりませんよね)

予算から始まり決算で終わる

ここまで説明したように、理事長・理事は好き勝手に管理組合の資金を集めたり使ったりすることができません。
管理規約や総会決議に常に従わなければならないのです。
だからこそ、理事長・理事の仕事は「予算」から始まって「決算」で終わるのです。
第2期目以降の総会議案書には、収支決算案と収支予算案が毎回入っているはずです。
総会議案書の会計書類は、自分以外の区分所有者にわかりやすいように工夫しましょう。

収支決算案…「予算額」「決算額」を並べて対比させて報告
収支予算案…「前期決算額」「当期予算額」を並べて対比させて上程

監事による会計監査

実は、理事会で作成した収支決算案をそのまま総会決議にはかることはありません。
総会開催前に、監事による会計監査が行われます。
監事による監査についても、また別のブログで解説するつもりです。

さいごに

理事長・理事は偉い人のイメージがあります。
しかし、理事長・理事は自分たちの好き勝手にやれるわけではなく、実は総会決議の方が「偉い」のです。
身分が高い・低いというより、総会で決定された意思が優先されるという意味で偉いのです。

会計書類の作成や総会承認は面倒くさいと思うかもしれません。
しかし、一部の区分所有者の独断で行うことを防止し、全員の財産を保全するためには必要な手続きです。
自分だけの財産なら話し合いや決議なんて要らないのですが、分譲マンションを所有していれば避けて通れない運命です。
(上場企業の株主総会と同じイメージです)

管理組合の会計は、一般的な会社の会計とは異なる特徴(予算準拠、区分経理)があります。専門知識が必要な時は、ぜひ当事務所へご相談ください。
当事務所は、マンション管理組合の税務と会計に専門特化した税理士事務所です!
毎月の収支の記帳、決算書の作成、予算書の作成支援は、当事務所の得意分野です!
お気軽にお問合せフォームよりご連絡ください。

最後までお読みいただき、いつもありがとうございます m(__)m
2022.03.12記

この記事を書いた人

陽だまりマンション税務事務所/代表・深谷高史(ふかやたかし)
一般社団法人愛知県マンション管理士会 理事
東海税理士会刈谷支部 所属

マンション管理士、税理士、マンション管理組合理事長の3つの顔を持っています。分譲マンション管理組合の税務申告を得意としています(携帯電話基地局など)。このサイトでは、マンション管理、税務、FPなどについてできるだけわかりやすくお伝えしています。

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