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マンション管理
マンション管理組合の防災業務

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。
今回のテーマは「マンション管理組合の防災業務」についてです。

 

管理組合の業務としての防災

マンション管理組合の目的は「建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うため」です(区分所有法第3条)。
この目的の範囲は各管理組合の考えによって広げられたり狭くされたりしますが、管理規約に記載されていることが標準的です。
標準管理規約の第32条には次のような規定があります。

第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。

(省略)

十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務

(省略)

マンション標準管理規約(単棟型、令和3年6月22日改正)第32条

一つの建物の中に複数の世帯が集まって生活しているわけですから、居住者それぞれが防災や防犯に気を配りつつ全員で住環境を快適にしていきたいですよね。
ですから区分所有者全員の団体である管理組合としても、業務として取り組む価値があるわけです。
とくに近年は自然災害が多発していますから、マンション内の防災活動が注目されています。

 

防災業務の具体例

管理組合の防災業務には、例えば次のようなものがあります。

耐震診断・改修、居住者名簿の作成、防災マニュアルの作成、自主防災組織の編成、防災訓練、保存食の備蓄、地震保険の加入…

たくさんあり過ぎて何から手を付けていいのかわかりませんね。
理事長さんひとりで進めるのは困難ですし、最終的には管理組合内の合意につながらなければ意味がありません。
したがって、専門委員会を設置してやるべきことを洗い出すことからスタートするのはいかがでしょうか?
都道府県や市町村などの行政機関もマンション防災について積極的に情報提供していますので、ホームページをご覧になったり複数の委員で講習会などにぜひ参加してください。

 

法律上の義務も適切に果たそう

消防関係法令で定められている義務もマンション管理には多く関係します。
消火器等の消防用設備等の点検・整備・報告、防火管理者の選任など…
こうした義務を果たしていなければ理事長さんの責任が問われてしまいますし、監事さんもそれを指摘しなければなりません。
実際に災害や事故が起きなかったとしても責任問題ですし、実際に起きたらさらに重大な責任問題となります。
法律上の義務を適切に果たすことにより、自分たちの居環境が安全・安心・快適になり資産価値も向上します。
嫌々やらされるものではなく、ワクワクする活動だと思いますよ。
消防法については以前のブログ「消防法って何ですか?」「消防設備士って何ですか?」もご覧ください。

 

消防署の救命講習会はオススメです!

高齢者施設、保育施設、スポーツ施設等にお勤めの方は職場で救命講習会を受講したことがあるかもしれません。
最寄りの消防署で救命講習会を受講することができます(ありがたいことに無料)。
心肺蘇生法(胸骨圧迫と人工呼吸)、AED使用法、外傷手当法、傷病者管理法、運搬法などを学ぶことができます。
多くの事故が家庭内で発生しており、119番通報で救急車を呼んだとしても到着までの短い時間が生死や社会復帰の成否を分けます。
自分の家族のために、また同じマンションで暮らす方を助けるために、マンション居住者数名で講習会に参加するのはいかがでしょうか?
なかなか都合がつかない方は消防庁のホームページにて一般市民向け応急手当WEB講習を受講することができます。

また消防署以外でも日本赤十字社が救急法の講習会を提供しています。
内容はだいたい同じです。

 

まとめ

マンション管理組合の業務の一つとして防災業務があります。
消防関係法令で定められている義務を果たさなければ理事長さんの責任が問われてしまいます。
法律上の義務を適切に果たすことにより、自分たちの居環境が安全・安心・快適になり資産価値も向上します。
消防署の救命講習会を受講することもオススメです。
専門委員会の運営などについてはマンション管理士にぜひご相談ください

 

最近の私事

私はスポーツジムでアルバイトしていた頃、消防署の救命講習会を受講しました(プライペートの時間をかけて)。
勤務先の講習でも消防職員をお呼びし講習会を実施していただいたことがあります。
最近はコロナ禍のせいで中止になっていることも多いようですが、日本赤十字社の救急法短期講習はZOOM受講できます。
2021年6月にZOOM受講したんですよ! 受講すると他人に優しくしたい気分になれます(笑)

私は学生の頃、「信州大学SRC(シニアレッドクロス)」という日本赤十字社の学生ボランティア団体に所属していました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
2021.07.17 記

この記事を書いた人

陽だまりマンション税務事務所/代表・深谷高史(ふかやたかし)
一般社団法人愛知県マンション管理士会 理事
東海税理士会刈谷支部 所属

マンション管理士、税理士、マンション管理組合理事長の3つの顔を持っています。分譲マンション管理組合の税務申告を得意としています(携帯電話基地局など)。このサイトでは、マンション管理、税務、FPなどについてできるだけわかりやすくお伝えしています。

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