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マンション管理
国土交通省が公表! マンション管理の基本方針

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。
2021年9月28日、国土交通省がマンション管理の基本方針を策定し公表しました。
赤羽一嘉・国土交通大臣の名義で縦書きの文章であり、マンション政策についての国の「宣言」と言えるでしょう。
本ブログではおおまかな内容について解説します。

正式名称とその背景は?

正式名称は「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」といいますが、「基本方針」と略して呼ばれます。2021年9月28日に公表され、2022年4月1日より施行されます。

以前より「マンションの管理の適正化に関する指針」がありましたが、公表日2001年8月1日から約20年が経過した2022年3月31日をもって廃止されます。
今後、建設後長い年数が経過したマンションが急激に増大していくものと見込まれるため、その社会的変化に対応するように今回の基本方針が策定されました。

分譲マンションの管理の主役はあくまで管理組合ですが、国・地方公共団体・マンション管理士などによる支援の必要性が増してきており、これらの者はこの基本方針に沿ったかたちで管理組合を支援していきます。

前文と7つの章によって構成されており、管理組合の方々は第1章、第3章、第5章を特に注目してください

第1章 マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項

第1章では、管理組合、国、地方公共団体、マンション管理士、マンション管理業者等の関係者についてそれぞれの役割を記載するとともに、相互に連携してマンションの管理適正化の推進に取り組む必要があることを記載しています。

管理組合を支援するために、国は政策を進め、地方公共団体は区域内の施策を講じ、マンション管理士は専門家として相談や助言を行い、管理会社は受託した業務を誠実に行います。

様々な支援者が存在しますが、マンション管理の主役は管理組合(区分所有者の団体)です。それぞれの役割をしっかり自覚することが重要です。

第3章 マンション管理適正化指針に関する事項

第3章では、マンションの管理の適正化のために管理組合及び区分所有者等が留意すべき事項等を記載するとともに、地方公共団体が助言、指導等を行う場合の判断基準の目安及び管理計画の認定基準を記載しています。

管理組合の運営は、長期的な見通し、健全な財務、区分所有者の積極的参加、マンション管理士や建築士など専門家の活用が重要です。
その前提として情報の開示、総会の適切な開催、管理規約などによるルール設定、長期修繕計画の作成などを行わなければなりません。

それができていなければ(管理水準が低ければ)地方公共団体が助言、指導、勧告を行うよう基準が示されています。
管理水準が低いマンションは老朽化すれば「管理不全マンション」になってしまう危険性が高いため、早めに対処しなければなりません。

逆に管理水準が高ければ、「マンション管理計画認定制度」により地方公共団体が認定(お墨付き)を行う基準が示されています。
この制度は2022年4月よりスタートしますので、管理組合の理事会は情報収集を行うとともに準備を進めてまいりましょう。
国土交通省マンション管理センターのホームページが参考になります。

第5章 マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項

第5章では、国、地方公共団体、マンション管理適正化推進センター、マンション管理士等は相互に連携しネットワークを整備するとともに、管理組合等に対する必要な情報提供及び相談体制の構築等を行う必要があることを記載しています。

名古屋市など大都市圏でもマンション管理に関する実態調査、無料相談、専門家派遣、セミナーが行われています。
例えば2021年は名古屋市、日進市、岡崎市にて「マンション管理ミニ講座」が開催されます。
行政や専門家の支援を積極的に活用しましょう。

さいごに

これまでの国のマンション政策は「新築の販売」を中心に考えられていました。
それは「住宅政策」というより「経済対策」(景気刺激策)です。
しかし人口減少という傾向があるため、空き家・空きマンションを増やしてしまいます。
そのため「新築の販売」から「管理の適正化」と「中古市場の効率化」へとマンション政策は変わりつつあります。

今回策定された国土交通省の「基本方針」にはそういった考え方の転換が色濃く反映されています。
持続可能性のある社会の実現という要請をふまえつつ、長期的視点に立ってマンション管理を進めてまいりましょう。

最後までお読みいただき、いつもありがとうございます m(__)m
2021.11.16記

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