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税務
2つの収支予算書と2つの収支決算書

こんにちは、マンション管理士・税理士の深谷高史(ふかやたかし)です。

前2回のブログで、マンション管理組合の経理に特徴的な考え方である「予算準拠」「区分経理」について説明しました。
この2つの特徴のため、総会議案書の会計書類は少なくても4つとなります。
今回のブログでは、総会で決議に諮られる会計書類について解説します。

【もくじ】
・収支予算書と収支決算書は計4つ
・収支決算書には貸借対照表も付ける
・収支決算書には監査報告書も付ける
・さいごに

収支予算書と収支決算書は計4つ

まず管理組合の経理の特徴2つを復習しましょう。

予算準拠
…管理組合の収入・支出は、総会で承認された予算にもとづいて行う必要があるとする考え方

区分経理
…管理組合の資金を目的別に分けて経理すること

「予算準拠」の考え方にもとづき、「収支予算書」と「収支決算書」という作成の時点が異なる会計書類が作成されます。
「区分経理」の考え方にもとづき、「管理費会計」と「修繕積立金会計」という区分が異なる会計が記録されます。

そのため総会議案書には、
(1)管理費会計の収支決算書
(2)修繕積立金会計の収支決算書
(3)管理費会計の収支予算書
(4)修繕積立金会計の収支予算書
という少なくても計4つの会計書類が掲載されます。

作成時点と会計区分が異なりますので、頭を切り替えて作成や読取りを行ってください。

収支決算書には貸借対照表も付ける

収支決算書は、終了した期間の収支を事後的に記録したものです。
普通でしたら1年間のあいだの収支です。
でも会計期間が1年終わったら、その終わった時点の組合財産の状況も知りたいですよね。

会計年度の最後の日における組合財産の状況は、「貸借対照表」という会計書類に記載します。
貸借対照表は、大きく分けて3つの部分から成り立ちます。

「資産の部」
…現金、預金、管理費・修繕積立金の未収分、損害保険料の前払分
「負債の部」
…修繕費の未払分、管理費・修繕積立金の前受分、税金の未納分
「純資産の部」
…次の会計年度への繰越金

資産の部」について…
管理費・修繕積立金の未収分は、金銭債権という形の組合財産ですので資産の部に計上します。
損害保険料は5年分などと前払いすることが多く、まだ経過していない分についても資産の部に計上します。

負債の部」について…
すでに修繕工事をやってもらったのにまだ支払いが終わっていなければ、その未払分は負債の部に計上します。

純資産の部」について…
資産の部はプラスの財産、負債の部はマイナスの財産です。
この2つを差し引いた残りは純資産の部であり、次の会計年度へ繰り越される金額となります。

貸借対照表も管理費会計と修繕積立金会計とで区分して作成するのが普通です(区分経理)。

貸借対照表の着眼点として、例えば下記の点に注目しましょう。
・現金が不必要なほど多く保管されていないか?(銀行預金が安全)
・銀行の残高証明書と金額が一致しているか?
・管理費、修繕積立金が滞納されたままになっていないか?
・修繕積立金会計の貸借対照表の次期繰越金が計画通りに積み立てられているか?

収支決算書には監査報告書も付ける

標準管理規約では会計報告について次のように規定されています。

第59条(会計報告)
理事長は、毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない。

理事長が作成し理事会で承認された収支決算案をそのまま総会で報告することはありません。
その前に、監事による会計監査というチェックが行われます。
監事の監査結果は、「監査報告書」という書類で行われます。
したがって、理事長・理事の収支決算書と監事の監査報告書はセットになっていなければ意味がないのです。

監査報告書には監査の方法や意見が記載されます。
問題がなければ、
・会計書類は正しく真実
・理事長・理事の業務は法令・管理規約・総会決議などに違反する事実は無い
といった意見が記載されます。

理事が業務を行った結果に対して、監事が監視を行うという車の両輪のような関係ですね。
監事も非常に責任が伴う役職なのです。
ノーチェックで監査報告書にサインとハンコを押すと、大きなトラブルになる危険性もあるので気を付けてください。
監事による監査については当事務所でも支援を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

さいごに

「予算準拠」「区分経理」という管理組合の経理の特徴のため、
(1)管理費会計の収支決算書
(2)修繕積立金会計の収支決算書
(3)管理費会計の収支予算書
(4)修繕積立金会計の収支予算書
という計4つの会計書類が総会議案書には掲載されます。

そして収支決算書には、
(5)管理費会計の貸借対照表
(6)修繕積立金会計の貸借対照表
も付けられます。

さらに監事が作成した
(7)監査報告書
も付けられます。

会計書類だけでもかなり複雑な内容です。
マンションの規模にもよりますが、修繕積立金の残高は数千万から数億円ともなります。
また、自分だけでなく多くの他人との共有財産です。
組合経理は自分の家庭の簡単な家計簿とは別次元なのです。

区分所有者には様々な人がいます。
経理知識・監査知識に乏しい人も輪番が来れば理事長・監事になります。
自分たちだけで経理を行うのはハードルが高いため、会計書類の作成だけでも外部の専門家に依頼することをおすすめします。
継続的に外部専門家が会計書類を作成することによって、経理以外の困りごとも相談しやすくなります

当事務所は、マンション管理組合の税務と経理に特化した税理士事務所です。
お問合せフォームからお気軽にご連絡ください。

この記事を書いた人

陽だまりマンション税務事務所/代表・深谷高史(ふかやたかし)
一般社団法人愛知県マンション管理士会 理事
東海税理士会刈谷支部 所属

マンション管理士、税理士、マンション管理組合理事長の3つの顔を持っています。分譲マンション管理組合の税務申告を得意としています(携帯電話基地局など)。このサイトでは、マンション管理、税務、FPなどについてできるだけわかりやすくお伝えしています。

最後までお読みいただき、いつもありがとうございます m(__)m
2022.03.31記

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